奄美群島の自然
奄美大島・喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島
奄美大島
森とマングローブと河川がある島で、固有種の宝庫
奄美群島の最北端に位置し、周囲460Km、面積720㎢で、佐渡に次いで2番目に大きな島。なだらかで美しい海岸が多い北部と、マングローブや大きな川がある中部、深いリアス海岸に縁取られる南部に大別される。(南部には加計呂麻島、請島、与路島や無人島も多い。) 湯湾岳(694m)は群島最高峰。島内にはアマミノクロウサギやルリカケスなど世界的に珍しい固有種や希少な動植物が生息している。ハブが棲む。
また、奄美大島中南部の河口部には、沖縄西表(いりおもて)島に次ぐ国内で2番目(約71ha)のマングローブ林が広がる。汽水域のため300種類以上の様々な生物が生息。林内は主にオヒルギ(北限)と、メヒルギ(大群落の北限)が占め、100万年前から生き続けるリュウキュウアユのほか、野鳥や多くの稚魚が食物連鎖を繰り返している。
喜界島の自然
年間平均隆起速度は世界二位
奄美大島の東方約25Kmの海上に浮かぶ周囲約50Km、面積57Kmの島。およそ10万年前にサンゴ礁が隆起してできた島で、奄美群島では一番若い。過去に地震による隆起を繰り返し現在でも年間平均約2ミリメートルで隆起をしている。このスピードは世界二位の速さだといわれている。
大きな川がないため、地下にダムをつくりスプリンクラーで島全体に水を安定供給している。植物のヒメタツナミソウ(シソ科タツナミソウ属)が固有種。
徳之島の自然
奄美大島とともに世界自然遺産の核
奄美大島の次に大きな島(周囲約84㎞、面積約248㎢)で、古い地層と花崗岩が島の骨格を造り、中北部に400〜600m級の山が並ぶ。また、島の西部と南部は新隆起サンゴ礁で覆われる。奄美大島と同様、アマミノクロウサギとハブが生息。またトクノシマトゲネズミやオビトカゲモドキ、トクノシマカンアオイなど、徳之島固有の動植物が生息し、奄美大島とともに世界自然遺産の核になっている島である。
沖永良部島
鍾乳洞とカルスト地形
周囲約56km、面積約94㎢の平坦な島。島の骨格は四万十層群(しまんとそうぐん)という古い地層だが、隆起サンゴ礁が全体を広く覆っているため、これらが水によって溶かされてできたカルスト地形やドリーネ地形が多い。
鍾乳洞は島内には大小合わせて200〜300ほど存在する。河川は一つしかなく、地下水や湧水が生活用水に利用されてきたが、最近は地下ダムが造られ、農作物の安定供給が期待される。ハブは生息していない。
与論島(よろんじま)
東洋に浮かぶ一個の真珠
奄美群島の最南端であり、沖縄本島へは約23㎞という位置にある鹿児島県最南端の島。周囲約24km、面積約21㎢の平坦な島で、一番高い標高は97m。島の骨格は古い地層でできているが、これらを隆起サンゴ礁が覆い、周囲を裾礁が囲んでいる。特に干潮のときだけ浮かび出る白砂が美しい百合ヶ浜が有名。島は「東洋に浮かぶ一個の真珠」と形容される。南十字星が見られる国内最北端の島。
写真/浜田太・解説/ホライゾン編集室