奄美の食

奄美黒糖焼酎の歴史

奄美黒糖焼酎

奄美だけで製造される蒸留酒

奄美群島には日本で唯一この島々だけで造られている黒糖由来の蒸溜酒があります。これが奄美黒糖焼酎です。

ブランデーやウィスキーと同じ蒸留酒であるため、透明で糖質はゼロ。口に含むとサトウキビからつくられた黒糖のやさしい香りと、米麹由来の芳醇な風味が広がり、奄美の自然と情熱を感じさせる本格焼酎として、昔から多くの人々に愛飲されて来ました。最近では様々な世界的コンテストで受賞が相次ぐなど、知名度は世界に広がって来ています。

奄美の黒糖

健康によい本格焼酎

また、黒糖焼酎などの本格焼酎は、二日酔いになりにくく、血液をサラサラにして動脈硬化の予防になる効果がほかの酒よりも格段に優れているという研究結果が発表されるなど、幅広い人気を集めています。

世界の蒸留酒

世界の蒸留酒は古代ギリシャの哲学者アリストテレスが蒸留技術を実験したことから始まったと言われています。この製法が、西方ではブランデーやウィスキー、ウォッカなどを生み、東方ではシルクロードを経て、インドでアラック、中国で焼酒(しょうちゅう)、タイでラオ・ロン、琉球では泡盛を生み、その後、奄美の島々でサトウキビと出会い、現在の黒糖焼酎が生まれて来たのです。

奄美黒糖焼酎の歴史

奄美での焼酎製造の始まりは定かではありませんが、琉球支配後の1609年には奄美の島々は薩摩藩の支配下に置かれ、その14年後に焼酎の貢納を命じられていることから、この頃には既に蒸留技術があったようです。

奄美大島に遠島になった薩摩藩士・名越左源太(なごやさげんた)が島民の生活などを記した『南島雑話』(1850~1855)には、シイの実や粟、ソテツなどを利用した様々な焼酎造りが紹介されています。また、サトウキビを絞った汁を澄まし焼酎に入れる「留汁焼酎(とめじるしょうちゅう)」の記述があり、黒糖焼酎の原形を見ることができます。

しかし、当時、黒糖は薩摩藩の専売で、庶民が勝手に扱うことはできませんでした。藩は、製糖時期には醸造を禁じていました。

明治になると、秘伝だった泡盛の製法が沖縄から伝えられ、自家製造は盛んになります。明治32年には自家用酒類の醸造は禁止となりますが、以後も密かに製造されていました。 第二次世界大戦後、奄美群島はアメリカ軍政下におかれ、本土と切り離され様々な流通が制限されました。食糧の米も激減するなか、麹づくりに必要な米を麦や芋で代用していましたが、売り先がなく余っていた黒糖が焼酎造りに活用されるようになり、現在の奄美黒糖焼酎の製法につながりました。
1953年12月、奄美群島が日本に復帰するとき、今までの実績が配慮され、米麹と黒糖を併用することを条件に、日本の酒税法の特例通達で、黒糖を使っての製造は日本で唯一奄美群島だけに認められたのでした。

サトウキビ畑

黒糖焼酎とラム酒の違い

ラム酒は、サトウキビの廃蜜糖だけを単発酵させてつくる酒で酒税法では洋酒のスピリッツ類に分類されます。奄美黒糖焼酎は一次仕込みに米麹、二次仕込みに黒糖(塊)を溶かしいれてさらに発酵させる二段構えの発酵法をとるため、香りと深いコクが生まれる本格焼酎に分類されます。酒税も安くなっています。

現在の奄美黒糖焼酎

現在、奄美群島の5島には26の蔵元があり、代表銘柄(18銘柄)を含む約170銘柄の多種多様な黒糖焼酎が造られています。この多彩な銘柄が生まれる理由には各蔵元の製法の違いとともに、島々の自然も関係しています。

水は大切な原料の一つですが、喜界島や沖永良部島、与論島はサンゴ礁が隆起した島であるため、カルシウムやマグネシウム量が多い硬水です。古い地層の山が多い奄美大島はこの分量が少ない軟水で、またその両方の特徴をもつ徳之島では、硬水と軟水が流れているなど、島々の製品の違いを生み出しています。

また、現在の黒糖焼酎の蒸留方法には、原料の風味を生かす昔ながらの常圧蒸留と、クセのない柔らかな味を作り出す減圧蒸溜があります。

そして、一時仕込みに米麹を使用し、二次仕込みに黒糖を溶かし入れて、奄美黒糖焼酎が製造されています。

黒糖焼酎の故郷/奄美群島とは

奄美群島(奄美大島・加計呂麻島、請島・与路島・喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島)は、鹿児島市の南南西約380kmにある奄美大島と沖縄本島北端から約23kmにある与論島の洋上の間に浮かぶ島々を指します。

気候は亜熱帯海洋性気候で、年平均気温は21度と四季を通じて暖かく、それぞれ特徴がある美しい島々には、貴重な動植物が生息しているため、世界自然遺産登録の日本候補地となっています。また、島唄や踊りなど日本の基層文化が色濃く息づいています。

奄美黒糖焼酎のできるまで(イラスト解説)

製造工程イラスト

  1. 原料米を浸漬し、洗米後は水分を切って蒸す。
  2. 麹菌を散布して適温を保つ(40〜45時間)と、熟成して麹ができる。
  3. 一次仕込み(熟成した麹に水を加えて、5〜7日すると、発酵してもろみができる)
  4. 黒糖を溶かし、黒糖液にする。
  5. 二次仕込み(一次仕込みのもろみに、溶かした黒糖液を入れる。)
  6. 二次仕込みの熟成もろみを。蒸留機に入れ、蒸留する。
  7. 不純物を除去し、貯蔵。
  8. 割り水後、瓶詰め。
  9. 梱包して出荷

写真・解説/ホライゾン編集室

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