奄美大島の川

奄美の川の特徴

奄美大島の中南部には最高峰の湯湾岳(694m)をはじめ、照葉樹林の深い森に覆われた山々が連なっている。そこに、温暖湿潤な気候が年間3000㎜近くの雨をもたらすことから、琉球列島には珍しく流程が10㎞を超える規模の河川が何本もある。

流域の大部分は森林で、蛇行するたびに瀬と淵を繰り返す中流域が発達しており、役勝川と住用川のように河口域に広大なマングローブを有する河川もある。

役勝川(やくがちがわ)

奄美大島で生息が確認されている陸水魚は300種近くにのぼる。これらの中で、一生を淡水域のみで過ごすミナミメダカOryzias latipesのような“純淡水魚”は極めて少なく、一般的に見られるのはオオウナギAnguilla marmorataやユゴイKuhlia marginata、ヨシノボリ類Rhinogobius spp.といった川と海とを行き来する“通し回遊魚”である。

オオウナギ

特に出現種数が多いのはマングローブに代表される河口周辺で、淡水と海水が混じり合う汽水域は、環境の変化に富んでいることに加え、餌となる底生生物等も多いため、ヒラアジ類Caranx spp.やフエダイ類Lutjanus spp.の幼魚、ミナミクロダイAcanthopagrus sivicolus、ボラ類Mugilidae spp.、そして多種多様のハゼ類Gobioidei spp.といった“周縁性淡水魚(汽水・海水魚)”が多く生息している。

ケンムンヒラヨシノボリ

ゴクラクハゼ

ミナミクロダイ

モクズガニ

写真/米沢俊彦ホライゾン編集室

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