独特の文化

奄美大島の相撲文化

奄美大島では、各集落や学校の校庭などにも土俵があり、男子は一生に一度は回しをつけるといわれるほど、相撲文化は地域に根ざしている。特に年中行事に色濃く反映され、十五夜の豊年祭では、力士が「スモー、スモー」と言いながら集落を回って祭の始まりを知らせたり、奉納相撲や敬老相撲の取り組みのほか、健やかな男児の成長を願う新生児の初土俵や、歌にあわせて、力士たちが勇壮に土俵で歌い踊る「相撲甚句踊り」を行う集落もある。

旧暦八月十五夜に行われる豊年祭での「振り出し」風景。神、人払い役を先頭に、祭祀を行うトネヤ跡から神聖な建物(アシャゲ)のあった土俵までの神なる道をヨイヤーヨイヤー、ワイドー、ワイドーの声に合わせ、ゆっくり練り歩く。 (宇検村)

八月十五夜の豊年祭では、相撲をとることが多い。薩摩藩時代に代官仮屋の役人たちの求めに応じて始まったとされている。(宇検村)

1歳未満の男児に回しをつけて、健やかな成長を願う「初土俵」。(奄美市)

小さいころから相撲に親しむ土地柄なので、奄美の島々から大相撲の力士になるものも多い。特に、歴史に残っているのは、昭和34年に第46代大相撲横綱になった朝潮太郎だ。鹿児島県下ではいまだにこれに勝る力士は出ていない。

「嶋人相撲」(『南島雑話』(名越佐源太著/奄美市奄美博物館)

写真・解説/ホライゾン編集室

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