奄美の海の生物たち

新種のアマミホシゾラフグを発見

奄美大島の南部にある大島海峡は、波穏やかで複雑に入り組んだ海岸線や潮通しがよいことから生物の種類が豊富で珍種が多く、比較的浅い水深で生物が観察できるため、ダイバーには人気のスポットだ。

何年か前からか、毎年4月中旬から8月中旬ころに水深15〜30メートルの海底で直径2メートルの不思議な幾何学模様のサークルを見つけていた。その見事なデザイン力には感動するばかり。ただ、それを誰が何のために作っているのかは、確認できなかった。

2011年、水中写真家の大方洋二氏をこのポイントに案内したとき、大方氏が偶然にこのサークルで作業をしている小型の生物(全長約10㎝)を見つけ、撮影に成功することができた。

アマミホシゾラフグがつくる産卵巣(写真/伊藤公昭)

その後、専門家により「世界に例を見ない新発見」となり、2012年、NHKの自然科学番組『ダーウィンが来た』に取り上げられ

世界的な反響を呼ぶこととなった。翌年からは、英国BBCやアメリカや国内外のTV局など、たくさんのメディアが訪れるようになった。
2014年には、国立博物館の松浦啓一名誉研究員により、新種の認定を受け、和名をアマミホシゾラフグ(学名はTorquigener albomaculosus)と命名された。Toruquigenerとはシッポウフグ属の学名であり、albomaculosusというのは「白い点」という意味だそうだ。

幾何学模様のサークルは、雄が雌を呼び込み、雌に卵を産んでもらうための産卵巣だとのこと。出来上がりは個体によって微妙に違い、その出来によって雌を呼び込めるかどうかも関わってくるようだ。

このアマミホシゾラフグは2015年の「世界の新種トップ10」に選ばれた。

奄美の海にはまだまだこうした不思議な世界が残されているようだ。

アマミホシゾラフグ(写真/伊藤公昭)

奄美大島の大島海峡(写真/浜田太)

BBC https://www.youtube.com/watch?time_continue=30&v=hpdlQae5wP8

千葉県立中央博物館 海の博物館の川瀬裕司氏が2017年、スイスで論文発表
https://www.mdpi.com/2410-3888/2/3/14
https://tetraodon.jimdo.com/

解説/マリンステイション奄美

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