奄美大島の森/植物
自然のなかに人生があった(エッセイ)
奄美群島が日本復帰して間もない1954年に日本植物形態学の草分けである広島大学の堀川芳雄先生が学生を連れて来島され奄美の植物調査に随行したが、これが故郷の森との大きな出会いとなった。1955年には熱帯植物分類の権威である初島住彦(はつしますみひこ)先生にお会いし、うっそうとした金作原に歩いて行ったことが思い出深い。 昭和60年代には住用川の渓流沿いで、アマミスミレ、アマミカタバミなど新種や新記録種が次々発見された。植物の調査が行き届いている日本では極めて異例なこととして非常に注目を浴びた。
初島先生は「奄美大島と徳之島は沖縄群島とともに最も早くアジア大陸から分離した島で生物学的にも最も注目すべき特殊地帯であり、ここには日本列島最古の生物相の残影をみることができる」と言われた。奄美の自然の貴重さと素晴らしさは、この短い言葉に凝縮している。奄美の自然の貴重さをもっと関心をもってもらいたい。自然への愛情が大切だ。